流行りの業態、誰にとって都合がいい?
私が働いていた教育業界のとある企業は、最近流行りの業態を取り入れていました。
同業他社では従来より、
○学校のように先生が前に立ち、みんなに向かって授業を行うタイプ
○1人もしくは数人の生徒に対し、1人の先生が着いて教えるタイプ
(元職場の関係者が見つけて気分を害さないよう、業界用語を使わず表記していきます。分かりにくくてすみません!)
のどちらかが基本でした。
ところが最近になり、新しい業態が出始めました。このタイプの中でも細かいところは会社ごとに異なりますが、自分のところは次のような感じでした。
まず、同じコマの中で学年や受講科目の異なる
生徒が複数やって来ます。
↓
生徒はそれぞれ席に座り、先生が前もって決めたページの問題を解いていきます。
↓
先生はみんなの席の周りを巡回し、様子を見ながら声掛けをして必要に応じて教えていきます。
と、こんな感じの形態になります。
ホームページでは、
○自分で考える力を身につける
○勉強の内容ではなくやり方を教える
○自分のペースでやれる
ということを謳っているところが多いのがこの業態の特徴になります。
ただ、このタイプのところに通って出来るようになる子はかなり限られているように感じ、多くの生徒に適しているから流行っているのかというとちょっと疑問です。
働いてみて、合っていると感じたのは以下のような子です。
まずは
○マジメだけどとても繊細な子
です。
このタイプの子は、マジメに勉強したくても、先生が怖いと質問できなかったり、ピリピリした雰囲気に圧倒されて集中出来なかったりすることが多くて、従来のタイプのところに通っても力を発揮出来ない場合があります。
そのため、自分に合った先生と一緒に、自分のペースでやれることが大切になります。
あとは、
○マジメに勉強しているがイマイチ伸びない子
です。
こういう子は、家でそれなりに勉強するけど、効率が悪かったり、要領が悪かったりするので、一言アドバイスをくれる先生がいると進めやすくなります。
逆に、机にはそれなりに向かっているため、具体的にどうやって勉強してるかが分からないと、周りの大人はどうアドバイスしていいか分かりません。そのため、やり方・進め方を見てくれる先生がいると安心なのです。
こんな感じの子たちは合っているかな。と感じました。
でも実際に通っている生徒の八割以上は、これらに当てはまらないタイプでした。
また、先生のキャラクターによって合う子合わない子のタイプは少し異なる印象がありました。少なくとも自分の担当した校舎の場合はこんな感じでした。
8割以上の生徒は
「あなたはここじゃないやろ、、、」
って感じなのにも関わらず、
こういう業態が増えているのってなんでだと思いますか?
それはズバリ、
「ワンオペで出来るから」
だと考えられます。
従来型の業態でも、正社員は1人だけで、アルバイトの先生が複数いる。というパターンが多いと思われますが、最近流行りの業態だと、
正社員かアルバイトかに関わらず、
「校舎に大人が1人」
という体制が可能になるのです。
前に先生が立つタイプだと、教室にいる全員が同じ学年の、同じ科目を勉強することになります。
そのため、学年や科目に合わせて複数のクラスが出来、それぞれに先生がつく必要があります。
よって大人1人では対応出来ません。
また、少人数制でそれぞれに先生がつくタイプでは、1人の先生が教えられる人数はマックスで3~4人になります。
そのため生徒がたくさん来れば、それに応じて先生もたくさん必要になってきます。
よって大人1人では対応出来ません。
しかし、最近流行りの業態ではどうでしょう?
同じ時間にバラバラの学年・科目の生徒が来ても、先生が歩き回ってそれぞれの席で対応しますから、余程大人数にならない限り、事実上1人でもどうにかなってしまいます。
(事実上と前置きしたのは、実際はかなりしんどい状況になることも多いためです。この件は別の記事で、触れていくつもりです。)
そこに目をつけ、
少ない人件費で教室を運営出来る!
と考えた企業は積極的にこの業態を増やしていきました。
また、
○自分で考える力を身につける
○勉強の内容ではなくやり方を教える
○自分のペースでやれる
というと、みんなにとって良さそうに聞こえますし、
うちの子が出来ないのはやり方のせいなんじゃない??
と思いたい親にはうってつけの文句ですの。
冷静に考えるとツッコミどころは多いですが、生徒もそれなりに集められてしまいます。
ところが、やはり1人体制の勤務って、
鍵開けから鍵閉めまで1人で行わなければならないのでとても大変です。
一応他の校舎の先生や上司と連絡をとることが出来ますので、何もかも1人でなないのですが、基本は、
先生=自分
生徒の管理=自分
事務作業=自分
営業活動=自分
清掃員=自分
電話対応=自分
みたいな感じになります。
1日の大まかな流れはこうです。
出社
↓
清掃
↓
○1人1人に合わせた授業準備
○配布物や掲示物があれば準備
○近隣の家にポスティング
○荷物や備品が届けばそれの処理
○建前上の休憩タイム(作業が終わらないので、滅多にとったことはありませんでした)
↓
授業スタート
○3コマ連続ほぼ立ちっぱなし
○少ないコマで2~3人 多いときは先生1人で13人程度(他校者で1人で20人対応した人いた)
○その間事務所の方や保護者から電話があれば対応します
↓
○保護者への電話掛け
○日報の入力
↓
○授業前にやり残した業務
といった感じになります。
定時より1時間かそれ以上前に来る人が多かったですし、定時から1~2時間後に帰るのが当たり前でした。
際限なく働いたところで誰も見ていないので、パソコンで入力するタイプのタイムカードだったこともあり、私も時間を誤魔化して自主的に定時前後や休日に仕事していました。みんなもそんな感じだったと思います。
(ちなみに基本職場でご飯を食べることはなく、
朝昼兼用で家でご飯を食べて、帰りはほとんどの店が開いていないのでコンビニに寄り、車の中で食べていました。)
勤務中にあらゆることを1人でやらなければならないのも負担になりますが、自分しかいないため、気軽に休めないこともまた問題です。
誰かが休むことで、別の校舎の先生に来ていただくことになります。
生徒人数の多い教室は少しだけアルバイトの先生が在籍していたのですが、休んだ人の穴を埋めてくれた先生の校舎では、そのアルバイトさんが1人で対応する羽目になっていました。
また、自分は1日置きに2校舎で勤務していました。(生徒人数が余程多い教室を持たない限り、みんな2校舎で勤務していました。)
そのため、片方の校舎では土曜日も授業があり、土曜日は休みの会社でしたので、隔週交代でいろんな先生が担当することになっていました。
でもそれでは結局引き続きが十分に行えなかったり、生徒や保護者の対応で不便なことも多く、本来休みであっても、土曜日は担当の先生が出勤していることが多かったです。
また、休みの予定でも、他の先生の都合がつかないときは、結局自分が出勤するシフトになります。だから、土曜日には基本的に自分の予定は入れられませんでした。
以上、
これらが最近流行りの業態の校舎で日々起きていたことです。
もしこういうところに通おうか迷っている場合、
大人は校舎に何人いるのか?
対応しきれるのか?
ということを確認するため、生徒数や先生の数を聞いておく必要があります。
仮に、入会説明の際に対応してくれた方の印象がよかったとしても、その人は営業担当のエリアマネージャーということもあります。
エリアマネージャーは普段は校舎に居らず、実際は先生が1人だけの可能性がありますので詳しく質問しておくのがおすすめです。